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2日目の女子団体は、中国が二位に約9点という大差をつけて優勝。圧勝であった。二位には、第一斑での演技というハンディがありながらも北朝鮮が入った。三位に日本。北朝鮮との差は1点であった。地元の韓国が四位。

試合後、日本女子の選手は笑顔で、関係者も男子のときと違い、ほっとした表情であった。個人的には、北朝鮮を抜ける状態であったので、もう少し調子が上がっていれば勝てたはず・・・という気持ちは捨てきれないところもあった。

写真)新旧メンバーがうまく力を出し合い、ゲント世界選手権に団体出場しなかった分、久々に力を見せ付けた中国チーム


<<第一班>>

この班の出場選手自体が少なかったので、北朝鮮の一人舞台のような感じとなった。平均台スタートだったのだが、以前、89年の世界選手権で、国際的に久々に姿を見せたときと違って、体が非常に締まっていて、たくましく見えた(写真)。平均台の技も中国のようにジャンプ系もよく、今回はかなり準備してきたのだろうなぁという感想を持った。しかし、平均台は落下が多く、伸身宙返りの一回ひねりもいたものの、その技も落下。点を伸ばすことができなかった。

ゆかは今までのイメージからまた一新。テクノサウンドの曲で動きもかつてからは考えられないものであった。キム・ウンジョン選手は一本目にアラビアンダブル半ひねり、二本目に月面、そして最後も三回ひねりと脚力の強いところを見せた。結局、月面が四人おり、意欲的に取り組んでいる姿勢が見れた。

跳馬も「ロンダード後転跳び一回ひねり後方屈身宙返り(ルコニ・SV9.7)」をなんと四人が実施。他にユルチェンコ一回半ひねりが一人と、ロンダード系の開発が図られていることが伺えた。

最後の段違い平行棒。89年デビュー時は、かの91年世界チャンピオンとなったキム・ガンスク、エースのチェ・ギョンシル、そして「パク宙返り」のパクと、段違いを得意中の得意としていたが、今回もメンバーはやはり素晴らしい演技を見せてくれた。特にイエーガーの裁きは、かつてのパクやチェ・ギョンシルそっくりで、高さと、その後のパク宙返りへの振りの大きさは見事であった。

こうして北朝鮮は平均台のミスを見事に取り返し、潜在能力を十分アピールした形となった。



<<第二班>>

第一ローテーション

中国のゆかの演技前、フロアのめくれか、あるいは下のセノック部分のずれか、中国側のアピールにより、数分間、フロアの修復が入った。中国の大会への意気込みはこのときにも感じ取れた。出来としては、ベテラン格の孫がミスをした以外は安定して、構成も一本目は全員月面を持ってきており、単発技も以前と比べて難度を取りに来ていた。日本は平均台で一人目の石坂がノーミスでトップの演技を終え、着地時のほっとした表情が印象的だったのだが、結局上村、大島と落下。しかし、最後の佐原が快心の演技で最後の参会ひねりまでまとめたものの、点としてはSVの関係もあり、伸ばすことはできなかった。


第二ローテーション

このローテからウズベキスタンが登場。エースのチュソビチナは26歳とは思えぬ脚力で、昨年の世界選手権で銀メダルを獲得した前転跳び前方屈身宙返り一回ひねり(ほぼ伸身)を決めて、9.325を出す。他国の跳馬の力を考えると、今大会、彼女の金メダルは濃厚かもしれない。中国がこのローテは休みで、日本がゆかであったが、一人目の佐原が、一本目を三回ひねり、二本目を二回ひねりにしてきた。本来は屈身月面、三回ひねりという構成だったのだが、足の怪我でもあったのかと心配な状況だ。しかし、出来はよくて、二人目の溝口、そして石坂に繋げた。石坂の前にかなり待たされたのだが(写真)、石坂は着地が素晴らしく、まとまった演技となった。四人目の真辺は一本目で伸身二回宙返り即前方宙返りの大技を決めたがラインオーバーがあり、そして、アップで決めていたアラビアンダブルでしりもち。三本目の月面も失敗し、持ち味を出すことができなかった。最後の大島は悪いムードを感じずに見事な演技で8.975を出した。


←待たされる石坂選手



第三ローテーション

中国の跳馬は、ユルチェンコ一回半ひねりか前転跳び前方屈身宙返り半ひねりで、まだ弱いところが見れた。この種目で楊雲の補欠としての選考を考えた理由がよくわかる。ウズベキスタンはチュソビチナ以外もまずまずの演技で、ゴルデーワも構成、質ともに大柄な体を生かしたいいものであった。チュソビチナはまたも構成を変えてきたのだが、久々にイエーガーを入れて、最後の伸身月面まで素晴らしかった。日本は休みで、地元韓国はゆかで観客を盛り上げた。韓国は外国人コーチを招聘したようで(写真)、曲や動きが洗練されて、非常にまとまったものが見れた。観客も乗りやすかったように思う。


第四ローテーション

日本は跳馬でアップの段階からやや着地に不安が見れたのだが、佐原選手が着地で後ろに一歩。いつもの大きさがなかったのが気になった。そして、最後の真辺は得意のユルチェンコ一回半ひねりで着手でつぶれたのか、高さが出ず、着地が低くなり、何とか立てたという感じであった。この跳馬で0.5は上乗せできたかもしれないと思うと残念な感じであった。中国は段違い平行棒で圧倒的な力を出した。北朝鮮は離れ技で見せるが、中国は背面系の動きでアピールするという感じだ。しかも、着地の安定感は素晴らしかった。

第五ローテーション

日本はこの段階で、北朝鮮に追いつくには段違いで8.8平均が必要であった。しかし、SVがそれには足りず、最後の最後でみんな素晴らしい演技を連発してくれたのだが、結果的には北朝鮮に1点のさがついてしまった。もし選手が本調子でない面もあるのなら、今回は悪い結果ではなかったのかもしれないが、今回の北朝鮮なら、本来の調子が出て、ミスも最小限に抑えてくれたら勝てたかな?と思うと、個人的にはやや残念な結果であった。中国は平均台で、トップの孫からSV10点で、高得点を連発。スタンディングの後方宙返りをうまく使ったシリーズの安定感は中国の力を感じた。ゆかはチュソビチナの演技で盛り上がった。伸身ダブルの迫力は10年前より劣ることなく、体操系でも足を水平に上げた二回ターン(D)などもきれいに決めて、SV9.8で、得点は9.325を出した。チュソビチナはこのまま個人総合もメダル争いに絡む勢いである。是非、26歳のチャンピオンを見てみたいものである。

←二位の北朝鮮チーム

←三位の日本チーム