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於 2004/6/19(土)〜20(日) 和歌山県立体育館

今年初の高校生の大会の取材であったが、残念ながら日曜日の自由演技のみの取材となった。まず、男子において、今年は例年以上に世代交代を感じ、昨年までのエースが抜けてそれに続く選手達の台頭が注目された。春の高校選抜では清風高校の植松選手が見事に優勝し、近畿勢として非常に嬉しいニュースであったが、今大会、この二三年の中で比較すると全体的にやや層が薄くなった気がした。しかし、二年生、一年生が団体メンバーに入っている高校も多く、来年以降が楽しみな状況ではあった。

女子は、京都翔英、四天王寺の3年生が非常に充実した状態でいい演技を見せたが、それに続く2年生、1年生としてはかなり学校が分かれていい選手が分散し、今大会、団体争いはともかく、個人争いがとても熾烈なものとなった。

⇒結果は日本体操協会ページ

まず、今回驚いたのが清風がつり輪からのスタートであったこと。規定を終えて3位という成績で、ライバルの洛南はおろか、報徳にも負けていた。3年生の森川選手が棄権し、1年生の笠井選手が入った状況で、非常に苦しいメンバー構成であった。そして、実際に演技は苦しい演技が続いた。十河選手もゆかなどを見ると完全に技を抜いており、代わって1年生の稲寺選手が頑張っていた。エースの植松選手がゆかの2回半ひねりがすっぽ抜け、2回ひねりとなってほぼ背中から着地したような状態であったが、それが唯一の大きいミスで、何とかチーム得点を引き上げていた。

規定1位の洛南は、見ていて危なげない演技を続け、四名の選手が各自の特徴をうまく出した体操をして、見事に団体優勝を果たした。清風の選手が小柄で、技で見せるのが多いのに対し、洛南は岩瀬選手が小柄なタイプである以外は、三名が体線の美しい体操をし、基本が出来ている点を最大限に見せる演技をする。その中で新島選手(写真右)はつり輪以外はかなりいい演技をした。つり輪が弱いという点は、高校生選手として・・・というより、鹿島、米田といった、線の美しい選手達の特徴ではあるのだが、来年以降のルール変更にもよるが、今後、しっかりと鍛えていかないといけない点ではあった。鉄棒はコールマンで落下してしまい、乱れてしまったが、その他はゆかのラインオーバー、平行棒のピーターズでのブレなど、細かいミスがあったものの全体的に貫禄を感じさせて規定で1位の植松選手を見事に逆転し、個人総合優勝を果たした。今後は全体的に技を増やしていかないといけないが、この質を保ってくれると世界に十分通用する、非常に楽しみな選手である。この新島選手に続いて大活躍したのが鈴木選手。新島選手と同じような線の出し方をする選手で、特にあん馬ではその特徴を如何なく発揮し、マジャール移動〜3/3後ろ移動〜ロシアン、Eフロップなどでアピールし、9.900を叩き出した。まだ2年生ということで、来年以降にも更なる期待がかかる選手である。

この上位二校に、昨年、県予選で姫路商業と市立尼崎に敗れて団体出場が成らなかった報徳が続いた。規定で清風を破っただけあって、技の豊富さよりも技の質がかなり上がったように思えた。特に3年生は初めて団体出場を果たしたこととなり、感慨も一塩だっただろう。小椋選手は力強い演技で熟練したところを感じさせる演技が多く、個人総合も3位に入り、かなり嬉しい結果となった。

2001年度版の採点規則での試合としては今年は最後となるが、今年の各選手の動きを見ると、まずつり輪が弱く、逆にあん馬は徐々に上がってきたような感じだ。特につり輪は力技で高校生らしい弱さがかなり出てしまい、上位選手は中水平にトライしたものの、角度として「水平」に見えたのは市立尼崎の岩下選手のみ。昨年の清風の峯、平田といったような力強い選手はいなかった。そして、ゆかは今大会、見た限りでは月面はゼロ、スワンダブルは植松選手が終末技で行ったのみで、単発の大技が見直されている現状ではかなり寂しかった。大学生以降の活躍につなげるためには今の時期からある程度の技を持っていてもらいたいというのが率直な気持ちだ。

京都翔英が昨年四天王寺をわずかに0.05差で抑えて優勝した昨年度の大会。今回もその両校の争いではあったが、両校の差は広がっており、翔英は3年生が三名が中心となって更に自信を着けた印象であった。跳馬ではユルチェンコとび伸身一回ひねりを次々と決め、そして、段違い平行棒では横井選手が久々にSE技であるデフを見せた。落下などのミスは各種目一名出ていたようだが、ベスト3がしっかりと揃えれる強さはかなり圧倒的であった。個人総合でも樋口選手(写真右)が堂々の優勝を果たした。

四天王寺は全日本、NHK杯などにも出ている井上(写真右)、吉川の二選手で何とか得点を稼ぎたいところであったが、他の二選手で京都翔英との差を作ってしまい、苦しい戦いとなった。吉川選手はゆかで一本目を月面、二本目を三回ひねりにして難度を上げてきて全体的にいい演技をしていた。そして、井上選手は規定で個人総合1位となっていたが、ゆかでラインオーバーを繰り返してしまい、惜しくも個人総合でも2位に終わった。跳馬は最近では珍しい屈身クエルボであったが(二本目)、今回に関してはユルチェンコとびの選手達には点数で及ばなかった。

上位二校の「三年生対決」とは別に、2年生以下の個人出場組も頑張っていた。市立尼崎の垣谷選手はしっかりとした力強い芯を感じさせる選手で、団体上位二校の選手に割って入って5位になった。その他、アクバスから府立校である寝屋川に進んだ中井選手、なんば体操クラブから大阪女子学園に進んだ2002年度の大阪府国体代表である中嶋選手もいい演技を見せた。残念ながら、アクバス出身である汎愛の2年生の大原選手が段違い平行棒で落下し、その後の演技を棄権してしまった。学校こそバラバラであるものの、こういった個人出場の選手達の実力が例年以上に高く、個人出場の壁が益々高くなってしまった。実力ある選手同士の戦いだけにかなり熾烈を極めるが、その分各自技の質に更に磨きをかけ、来年、再来年と再び上位争いを面白くして欲しい。

※成績上位の選手の動画を全て収録できませんでしたので、ご期待の演技が必ずしも掲載されている訳ではありません。また、演技の最初が欠けている場合もありますので、合わせてご了承ください。


下山大介(太成学院大学)

西谷剛(報徳学園)

植松鉱冶(清風)

新島卓矢(洛南)

植松鉱冶(清風)

鈴木孝昌(洛南)

植松鉱冶(清風)

新島卓矢(洛南)

鈴木孝昌(洛南)

植松鉱冶(清風)

新島卓矢(洛南)

鈴木孝昌(洛南)

植松鉱冶(清風)

小椋慎一(報徳学園)

岩下直史(市立尼崎)

垣谷真里子(市立尼崎)

樋口英里(京都翔英)

吉川瑠美(四天王寺)

田中理恵(和歌山北)

井上奈那(四天王寺)

樋口英里(京都翔英)

練谷奈緒(京都翔英)

樋口英里(京都翔英)

大原まどか(汎愛)

吉川瑠美(四天王寺)

井上奈那(四天王寺)

樋口英里(京都翔英)

※観客席のスペースを提供して下さった姫路商業のみなさん、ご協力ありがとうございました!m(__)m と同時に、初めて直に「いつ動画アップするんですか?」選手サイドである部員の皆さんから質問を受けてしまいました^^;。約束通りに早くアップしましたよ!(^O^)

※女子の動画はS岩さんに提供して頂きました。ありがとうございました!