◇要求グループ
1.片足振動技
今回のルールで特徴的となっているのがこのグループ。旋回をせず、交差とい
って、足で馬を挟むようにする技なので分かりやすいと思います。比較的軽視
されていた交差技は、今回のルールで単なる交差ではB難度にはらないというこ
とで、各自が工夫を見せてます。しかし、一番多いのは、交差ひねりです。交
差には、前に出ている足と逆向きに振って交差する正交差と、その逆の逆交差
があります。単に1/2をひねるとA難度の交差ひねりになります。足の入れ替え
は一回のみです。B難度の交差は、足の入れ替えが二回あります。ということは、
正交差からひねった後、A難度では再度正交差の状態になりますが、B難度では、
逆交差の状態になります。足だけでいうと、左足が前に出ている状態で、正交
差をすると、A難度ではひねった後、また左足が前に出ますが、B難度では右足
が前に出ます。交差もちょっと面白く見れる今回のルール、ちょっとだけでも
興味を持って頂くと面白いですね。
2.閉脚旋回と開脚旋回(シュピンデルや倒立を含む)
普通に閉脚でも、開脚でも(トーマス旋回)、旋回を回るだけでは当然B難度以
上にはなりません。ここでB難度以上にしようと思えば、これまた旋回にひねり
を加えたり、倒立に持っていったりする必要があります。片ポメルで縦向きの旋回を行うと
B難度なので、加点技以外でこの縦向き旋回を入れる選手は多いです。加点技で
代表的なのは、ひねりを加える「シュピンデル」です。このシュピンデルとは、旋回の方向と、
ひねりの方向が逆であることが特徴です。横向きの1/2ひねりでB難度となります。
そして、鹿島選手などが行っていて馴染みのあるD難度のシュピンデルは、開脚旋回
で行われるものです。条件として、「旋回一回で」ということが
あります。閉脚だと
E難度です。
3.移動技(横向きと縦向き)
あん馬には、あん馬の横向きにポメルがあって、横向きの旋回で行うことが多
いのですが、縦向きに旋回することもあります。そして、それぞれの方向で移
動することがここでは求められます。移動には、馬端、馬背、馬端といった、
ポメルによって区切られた三つのパートが重要なポイントとなります。移動の
時には、3/3、2/3、1/3というのがよく出てきます。例えば、馬端からポメルへ
の移動は1/3、馬端から他の馬端への移動は3/3となります。馬端から馬背は1/
2になります。そして、D難度の移動技は、3/3、しかも、馬端〜ポメル〜馬背〜
ポメル〜馬端といった、全パートを経過します。
4.転向技
このグループは、加点を狙う上で、今のルールでは非常に重要なものです。転
向技には上向き転向と下向き転向があります。下向き転向は、ゆかでいう「フ
ェドルチェンコ」のように、手を体の前面に出して「パタパタ」するやつです。
上向き転向は、代表的な高難度の技は、メリーゴーランド(藤田選手が行って
いたことで有名。今では笠松選手が行ってます。)です。大体この2つでイメー
ジが掴めたと思います。また、加点対象としては、ウゴーニャンという技で、
下向き転向で二回回りながら3/3の移動を行うことでE難度となります。
そして、次に重要なのが、「シュテクリB」という上向き転向の技です。単独で
はB難度ですが、これをワンポメル上で連続したりして、三つ以上ワンポメル上
の技を組み合わせてくるとD難度以上の難度になります。男子の繰り返し技の禁
止の除外対象の部分です。また、同様にワンポメル上で、シュテクリBなどを二
回行った後、ワンポメル上で下向き転向に繋げると、下向き転向の旋回数によ
ってD難度以上の技となります。
この部分は非常に難しいです。「フロップとは?」「コンバインとは?」を理
解する為に、見極めができるかがポイントです。最低限、「シュテクリB」を見
分ける方法が分かれば面白いと思います。シュテクリBは、横向き正面支持から
ワンポメル上で背面支持の状態になり、その後、横向きでワンポメル上で正面
支持になります。この辺りに注目して下さい!(下記にて詳しく説明)
5.降り技
他の種目と比べて、「降り技」ということのイメージがあまりないと思います。
というのも、最後の最後まで、あん馬に乗っているからです。ですので、降り
技の技は、今まで紹介してきたような技の延長であります。4グループでは「シュ
テクリB」が代表的でしたが、このグループでは「シュテクリA」が重要です。
シュテクリBと比べて、ワンポメル上の背面支持から、ワンポメル上の正面支持
ではなく、両ポメル上、あるいは片手を馬上で支持している正面支持となりま
す。そこから倒立に持っていき、移動したりひねったりしてD難度以上となりま
す。
◇加点例
●マジャール移動(前移動)+シバド移動(後ろ移動)(D+D)
⇒かなりポピュラーで、高校生レベルでも行ってます。当然逆もありえます。
3/3の移動で、前に馬背を手を着きながら移動し、後ろに戻るときも同様に、馬
背に手を着いて戻ります。
●フロップの加点
前移動シュテクリB+シュテクリB+ワンポメル上縦旋回縦向き正面支持+ワン
ポメル上縦旋回横向き正面支持=SSLL→Eフロップ
非常に難しい項目です。簡単には分からないかと思いますが、一応こちらもそ
れなりに噛み砕いていいますね^^;。
まず、Sとは?Lとは?から。フロップ、コンバインの話では、SとLという文字
が出ます。SはシュテクリBを指します。Lは、”ループ”といって、「ワンポメ
ル上縦旋回縦向き正面支持」か「ワンポメル上縦旋回横向き正面支持」を指し
ます。選手がフロップに入ってしまうと、普通に見ただけでは技の区切れ目が
分からないので、どれがSでどれがLかというのは難しいですが、見分けるコツ
は下記の通りです。
技の開始点は全て正面支持の状態から見ます。
・縦向き正面支持から縦向き正面支持(たてたて)・・・縦向き旋回
・縦向き正面支持から横向き正面支持(たてよこ)・・・縦向き旋回からシュ
テクリBのような終わり方
・横向き正面支持から縦向き正面支持(よこたて)・・・シュテクリBから縦向
き旋回のような終わり方
以上はL(ループ)です。
・横向き正面支持から横向き正面支持(よこよこ)・・・シュテクリB
以上のみS(シュテクリB)です。DSBという言葉も用いますが、Direct Stocli
Bの意味です。
これらのSとLで、三つ以上の組み合わせで、しかも、SとLがそれぞれ二つまで
であると(SSSLやLLLSは不可ということ)、フロップとして認められます。三
つの組み合わせでD、四つの組み合わせでEとなります。組み合わせは、SSLLや、
LSSLなど、様々です。
フロップにD難度のシュピンデルなど、D難度以上の技を繋げると、組み合わせ
の加点がもらえます。上記のシバド移動からEフロップにつなげると、D+Eで、
難度加点と組み合わせ加点で合計0.5がもらえます。
●コンバインの加点
フロップと同様、SとLが入ってます。SかLが一つないしは二つ入って、下向き
転向に繋げることにより一つの難度で扱われます。組み合わせ例は下記の通り。
SかL+下向き転向(360度か540度→D、720度か900度→E、1080度→SE)
L+S、S+S、L+L + 下向き転向(180度か270度→D、360度か540度→E、720度
か900度→SE)
※角度は、いちいち書かなくてもいいかもしれませんが^^;、180度といえば、
半周、360度で一周です。270度は、3/4周ですから、縦向きから横向きになるよ
うな感じです。