「オールラウンダー3人+スペシャリスト2人」の代表を、「オールラウンダー2人+スペシャリスト3人」に・・・。
ロンドン五輪から帰ってきた内村の発言だ。この意見、かなり賛成できるものだ。この彼の意見に更に「オールラウンダー2人が決まってから、スペシャリスト3人の構成を考える」ということを付け加えたい。
日本は選考方法を事前に設定し、明文化することにより、トラブルを避けたがる傾向がある。それは、水泳でも例え順位で1位、2位に入っても、設定タイムを上回れなければ代表入りできないようになっていること通じる。水泳の場合、確かにそれで問題ないかもしれないが、体操の場合、いざ事前に決めた選考方法で決まった選手の顔ぶれを見たときに「あれ、あん馬が苦手な選手ばかりではないか」とか「鉄棒が全員得意だから誰を落とす?」みたいなことになりえる。実際にロンドン五輪ではあん馬、ゆかの3人目がいなかったのが大きなポイントであったように思われる。田中和がその穴を埋める役目に回ったが、今回はその2種目でミス。このミスを見たとき、どこかで無駄に重荷を背負わされていた気がしていたのは少なくないだろう。
今回の選考会で個人総合上位に入っていたのは田中和だ。そして既に実績で決まっていた内村。この二人の弱い種目を補う選手を選ぶように考えれば、まず田中和ではゆか、あん馬、跳馬。この3種目を重点的に、スペシャリスト枠を埋めていく。下記のように各選手の得意種目をまず並べてみる。
・沖口・・・ゆか、跳馬
・山室・・・つり輪、跳馬
・加藤・・・ゆか、跳馬
・野々村・・・跳馬、あん馬、つり輪、平行棒
・小林・・・あん馬、つり輪、跳馬
・田中佑・・・鉄棒、平行棒
まず、埋めたいゆかについては沖口と加藤がいる。しかし、加藤の方が他の種目でも点を稼ぎ、総合でも上位にいる。だからゆかについてはやはり加藤。続いてあん馬については、つり輪、跳馬でも貢献度が高い小林を入れたい。ということで、ゆか加藤、あん馬小林、つり輪小林、跳馬小林とする。
残りは平行棒と鉄棒だが、ここでもゆかとあん馬をなるべくカバーできる選手を選びたい。ここはオールラウンダーの要素もある野々村を選びたい。
こうして並べると内村、田中和、加藤、小林、野々村になり、今回との比較では田中佑、山室と小林と野々村が代わりに入る。具体的に決勝の各種目は
ゆか・・・内村、加藤、野々村
あん馬・・・内村、小林、野々村
つり輪・・・内村、田中、小林 (野々村を内村の代わりに入れてみてもいいかも)
跳馬・・・内村、小林、野々村
平行棒・・・内村、田中、野々村
鉄棒・・・内村、田中、加藤か野々村
となる。
かなり個人的に勝手に並べてみたが、実際にオールラウンダーが決まらないと、それを埋めるべく選手が決まらないわけで、オールラウンダー枠の選手が劣る種目を選考会の得点、出来から判断して、そしてその種目を重点的にスペシャリストを選べば、実際に決勝のメンバーを考えたときに安心して3人を決めることが出来る。
これがシステマティックになれば客観的でいいのかもしれないが、個人的にはそこまでしなくてもと思う。実際に中国男女、アメリカ女子はそういうことにはなっていないと思うし、ある程度選考会の得点を考慮した選考になればそれなりに客観性は保てるはずだ。